西オーストラリア州の画期的なネコ法案を考える

Cat Havenは、西オーストラリア最大の猫保護のための非営利組織だ。そして、裏庭には訪問者には見えない安楽死の設備もある。ここで保護される猫の数は毎年9千匹以上。そのうち家猫として引き取られる猫はわずかに2千匹。
RSPCA(オーストラリア動物虐待防止協会)の発表によると、オーストラリア全体では5万8千匹以上の猫が保護されるが、そのうち3万3千匹以上の猫たちが殺処分の道をたどる。日本の猫殺処分数は20万匹を超えるが、人口の比率から言うとほとんど同じぐらいの数字だと言える。オーストラリアの人口は、日本の約7分の1だ。

以前にも書いたが、西オーストラリア州では昨年ネコ法案(Cat Bill 2011)が可決された。発令は今年2012年11月。そして、1年の猶予期間を設けて2013年から正式な法律として執行されることになる。州内のShireと呼ばれる各地域ごとに、法執行のための機関が設けられるわけだ。
猶予期間とはいえ、あと数ヶ月で飼い主の義務は法化される。もう1度、自分のためにもおさらいしてみようと思う。

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ネコ法は元々猫殺処分の数を減らすための法律。その最初の一歩として、今まで野放しだった飼い主としての義務に焦点があてられている。

犬の場合と同じようにShireへの登録とマイクロチップ埋め込み、6ヶ月以上の猫の去勢と避妊手術などだ。各Shireでは、そのための費用補助の検討をすでに初めている。今までにも費用半額負担をしていたShireがあるが、たとえばわたしの住所のあるShireではなかった。つまり、手術とマイクロチップは飼い主の負担だったのだ。これは、退職者年金で暮らしている老人たちには、痛い出費だ。

また、登録済みブリーダーも譲渡時には去勢・避妊手術済み証明書の提出が義務付けられる。今でも3ヶ月以下の仔猫譲渡は一般的ではないが、これにより決定的に12週間以下の仔猫はまず譲渡されなくなる。それ以前の手術は獣医が許可しないからだ。

そして、もうひとつの項目は1家庭の猫数制限。3匹以上猫を飼うことはできなくなる。もちろん、ブリーダーはその許可証により制限の範囲外になるし、不幸な猫の短期間預かり家庭も除外される。しかし、多頭飼いをしている家庭では「その猫たちが死ぬまで」飼うことはできるが、猫数が2匹になるまで新しい猫を迎えることはできない。

ただし、オーストラリアの猫たちは基本的に「放し飼い」で、犬と違って「半飼い猫」が多いのも事実。
犬の放し飼いは法律で禁止されているが、猫はその範囲ではない。多頭飼いの家庭はこうした半飼い猫で構成されていて、隣近所の反感をかうことが問題視されているのだ。つまり、登録・マイクロチップ・去勢/避妊手術を無視してきたために増えた猫たちの、原因のひとつともなっている。

そして、違反者は令状により家宅捜索され、猫は「違反者が義務履行するまで」保護されることになる。罰金は約50万円まで。厳しい。

もちろん、先に書いたとおりこれは猫の殺処分を減らす「最初の一歩」だ。そのため、様々な問題点をも抱えている。

たとえば、猫好きの多頭飼い。ショウに出すことが趣味のひとたち。たまに自宅の猫を交配させる飼い主たち。そうしたひとたちの猫はほとんどが内猫であり、もちろんマイクロチップを埋め込んだ猫も多い。だがブリーダーなどと違い、3匹以下という法の範囲内なのだ。猫がダイスキなだけでは、3匹以上飼ってはダメということになる。(ちなみに、Shireによっては犬も数制限を設けている地域がある。)

裏庭ブリーダーたちも黙っていない。登録していない素人ブリーダーのことだ。ただし、わたしはこの裏庭ブリーダーたちの真意がわからないし、サポートもしたくない。なぜ登録しないのか。なぜ様々なネコを交配させて、「ブティックキャット」などという名前で無料掲示板などで売るのか。雑種ネコとラグドールの交配でできた仔猫をブラックラグドールなどという名で、ブリーダーからの猫たちよりはるかに安い値段で売る広告を見たことがある。この裏庭ブリーダーたちは、自分たちの小遣い稼ぎができなくなるので州政府に働きかけていると言う。

そして、もうひとつはネコ法の執行により捨てられる猫が一時的に倍増するのではないかという危惧。つまり、費用の負担と自分の猫を天秤にかけて、猫を捨てるほうを選ぶひとたちのことだ。Cat Havenでは、そうした無責任な飼い主のせいで殺処分は増えるだろうと予測している。

繰り返すが、これは「最初の一歩」だ。全ての項目に関して、猫たちとそして猫に関わりのあるひとたち全てを満足させることはできない。残念ながら、それが法というものなのかもしれない。

ちなみに、西オーストラリア州にはイヌ法(The Dog Act of 1976)もある。もう20年以上前から執行されている法律だ。日本と同じものもあれば違うものもあるので、情報として以下に記した。

1.公共の場において、全ての飼い犬は、飼い主名、住所、登録団体名を記したタグとそれをつけた首輪をはめていなければならない。罰金約1万円。

2.全ての飼い犬は、居住する場所に監禁されなければならない。そして、許可されている場所以外での公共の場では、2メートル以下のリードを装着しなければならない。罰金約1万円。

3.3ヶ月以上の飼い犬は全て、18歳以上の州民の名のもとに登録されなければならない。罰金約1万円。登録料は、去勢・避妊手術済なら3年で約千8百円。未手術の犬は約7千円。(犬はどちらにしても自宅に監禁されていなければならないので、手術は強制ではないのだ。ただし、登録料がかなり違う。)

4.パース市内公共の場で飼い犬のフンの始末を怠った場合、約4千円の罰金。

5.グレイハウンド犬は、公共の場において必ずマズル(口輪)を装着しなければならない。罰金2万円。


ネコ法には不満は多々ある。が、改定に改定を重ねて、長い目で見れば猫たちの幸福を導くことになってほしいと切に願っている。

猫たちのために。
毎年殺処分される何の罪もない猫たちのために。

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